整備日誌    2006年7月編

7月4日
相変わらずネタはいっぱいあるんだけどなかなか筆が進まない…いや、キーボードを叩けない…
さて2006年は大手メーカーの洗脳セミナーが多かった(^^;
特にカーボンに関しての説明が多かった。
まぁ今時カーボンフレームなんてどこのメーカーでもあるし、珍しい物でも目新しい物でもない。ので、今までカーボンをウリにしていたブランドからするとあまりうれしい状況ではないはず。そんなわけかカーボンの”違い”を力説することが多かったです。

単一方向性カーボン

さてカーボン、あなたはカーボンと言われてどのような柄を想像しますか?おそらく多くの方が縦、横の編み目のカーボンを想像すると思います。カーボン柄なんて言われたりもするし。
確かにあれはカーボンです。しかし究極的なカーボンではないそうです。
カーボンというのは皆さんご存じの通り繊維です。繊維ですから繊維の方向に対しては強く、その横方向に対しては弱く(しなやかと言った方が聞こえがいいか)という特性を持っています。
自転車には色々な方向から応力がかかり、その応力に対しては強く、しかし場所によっては適度なしなやかさを持たせたい。ので、場所によって繊維の方向を変えたり、複雑な断面形状をしていたりするわけです。
と言うことは、「ここはこういう応力がかかるからこっち方向に強くしたい」という場合、その応力の方向に従い繊維を敷き詰めたりします。そうすることで欲しい方向にのみ強さを出して、すなわち最低限の量の繊維で必要十分な強度を出すことで軽量化を図れるわけです。
欲しい方向にのみ強さを出すように繊維を敷くわけですから敷く方向はおのずと決まってくるわけです。
しかし一般的に我々が知るカーボンというのは上記で想像したように縦横の編み目の繊維です。”縦横”の編み目ということは「欲しい方向にのみ」ということと矛盾します。
というわけでようやく本題にはいるわけですが、2006年、このような洗脳セミナーを行ったブランド「全て」で共通して出てきた言葉は「単一方向性カーボン」もしくは「ユニディレクショナル」という言葉です。ま、同じ事です。
繊維の方向を一方向にして、欲しい強さを欲しい方向にのみ有する。
ふむふむ。でも一般的によく見かけるカーボンは縦横の織りだし、単一方向性カーボンを謳いながらも織りのカーボンのバイクもあるけど…
はいはい、そのとおり。単一方向性カーボンを使用しつつもトップには縦横の織りのカーボンを使うブランドは非常に多いです。なぜか?
カーボン表皮はフレーム自体にかかる応力とは異なり、倒したり、乱雑に扱われたりなど、想定できないような力が加わることがあります。そのため表皮には様々な方向からの外乱に強い織りのカーボンが使われたりするのです。


7月13日
と、洗脳されたところであるお客様からある有名なカーボンロードフレームをご注文いただきました。
まぁそんな風に洗脳されたわけです、そんなところにカーボンフレームのご注文を頂いたわけですからやっぱ興味津々になってしまいます。
フレームならパーツが付いていないので中身は丸見えですから。
で、撮影したのが右の写真。
外観はやはり織りのカーボンなのですが、ヘッドチューブから中を覗くと…織りのカーボン。
洗脳された人間にとっては、この有名どころの、この高いフレームがそういう作りになっているんだと知るとちょっと残念という気分になってしまいました。
でもカーボン繊維だけでは評価できないのが自転車の面白いところ。結局は色々なパーツが組み合わさってトータルとして機能する物だし、感受性も人それぞれです。自分に合った乗り味だったらそれでOKですよね、趣味としての自転車なら。
なお当店のトップページからリンクしている重量データベースにはこのフレームは載っていませんでした。どうやら計量し忘れたようです。よくあることなんですけどね(^^;


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